監査の現場で「ITに強い」と思われるためにできること

目次

はじめに ―「IT、得意そうですね」と言われたこと、ありますか?

「このエクセル、どう直したらいいですか?」
「Teamsの通知、どこで切り替えるんでしたっけ?」
「これどうにか効率化できないかな?」

――そんな質問が自分に飛んでくるようになったら、それは現場で“ITに強い人”として一目置かれているサインです。

でも実際は、パソコンもネットも得意じゃないし、IT監査に行く予定もない。
「できるふりしてるだけなんです……」という声が聞こえてきそうです。

大丈夫。

ITに“本当に詳しい”必要はありません。
少しの知識と、ちょっとした「見せ方」で、“なんか詳しそう”という印象はつくれます。

この記事では、ITが得意じゃない若手会計士でも、明日から取り入れられる実践的なTipsをご紹介します。

1.「詳しそう」に見せる振る舞い方:3つのシーン別Tips

(1)Teamsで:通知&ステータス設定をスマートに使う

意外と見られています。「この人、ちゃんと設定してるな」と思わせるポイントはここ。

  • 通知の整理:「チャネルごとに通知をオフ・オン」できる設定にしておくと、無駄に慌てずに済みます。上司のいるチャネルだけオン、それ以外は手動でチェックするのがスマートです。
  • ステータス活用:「取り込み中」や「すぐに対応できません」の表示をうまく使うだけで、“できる感”が出ます。地味ですが、効果は絶大です。

(2)Slackで:絵文字リアクションで“気が利く人”に

Slack文化があるチームでは、リアクションが“即レス”代わりになります。

  • 「👍」「✅」「👀」などをサッとつけられると、反応の速い・空気の読める人という印象に。
  • あまり使い慣れていない人ほど、ここで差がつきます。

(3)Excelで:ショートカットキーで脱・初心者感

  • Ctrl + Z、Ctrl + Y:Ctrl+Z(元に戻す)は多くの人が知っていますが、Ctrl+Y(やり直す)を知らない人は意外と多いもの。知っておくだけで差がつきます。
  • F4キーの活用:直前の操作(罫線や塗りつぶしなど)を繰り返すF4キーを使うと、「Excel慣れてる人」感がじわっと出てきます。

2.「実は効く」簡単な勉強法:IT苦手でも続けられる3選

(1)ChatGPTに業務の質問をしてみる

「ChatGPTに質問するのって、なんかハードル高そう」
そう思っていませんか?

でも実は、“一番効率的な学習相手”になってくれます。
たとえば、こんな質問でも――

「VLOOKUPとXLOOKUPの違いを、具体的な例で教えて」
「Teamsでファイル共有するとき、誰まで見られる?」
「レビューコメントが多いExcel、整理の仕方ってある?」

こうした内容にも、かなり丁寧に答えてくれます。
慣れてくると、「ちょっとググる」よりも圧倒的に早く、正確に情報を得られます。

ただし注意点もあります。

ChatGPTの利用は、監査法人のセキュリティポリシーや情報管理ルールに反する場合があります。
利用前に社内のガイドラインを確認し、個人情報やクライアント情報を含む内容は絶対に入力しないようにしましょう。

(2)社内の“共有フォルダ”を読み解くクセをつける

ITに強い人は、たいてい「仕組みや構造」に強いです。

まずは社内のファイルサーバーやシステムの“中身を読んでみる”ことから始めましょう。

  • どういうフォルダ分けになってるか
  • どのファイルがいつ・誰によって使われているか

これを意識するだけで、情報整理の力と“構造をつかむ力”が自然と身につきます。

(3)好きな1テーマだけ“1日15分”で深掘り

「全部は無理」と思うなら、1テーマだけ決めて深掘りしてみましょう。

  • Excelのショートカット特化
  • TeamsやOutlookなどOffice連携のコツ
  • Power BIやPythonなど、気になるワードを“検索だけ”してみる

全部わからなくてOKです。

「このへん、ちょっとだけ詳しいです」と言えるだけで、現場での存在感は大きく変わります。

ちなみに筆者は、「Excel使いこなしているね」と言われたくて、毎朝の電車の中で『ショートカットキー一覧』と『使えそうな関数一覧』を眺めていました。
入所してすぐにMATCH関数を使ったとき、「お、よく知ってるね」と褒められて、嬉しくてさらに頑張ったのを覚えています。

3.「印象づけ」のテクニック:若手でもできる見せ方とは?

「詳しくなってからでないと話せない」と思っていませんか?

それ、です。

(1)“聞かれるポジション”に回る

Excelの関数、Teamsの設定、共有フォルダの使い方――

少しでもわかったら「さっきそれ調べたんですよ」と軽く言ってみてください。

すると、次から “その人に聞けばよさそう”という空気ができます。

最初は些細なことでOK。繰り返すうちに“IT担当っぽい”ポジションができていきます。

(2)「社内マニュアル、私も読みました」と言ってみる

社内の手順書やシステムのマニュアル、実はけっこう読んでいる人が少ないです。

読んだだけでも「ちゃんとしてる人だな」と思われます。

  • 「◯◯の画面って、あのマニュアルに載っていましたよ」
  • 「このシステム、最近アップデートされて〇〇ができるようになりましたよ」

なんて言えると、“仕組みに詳しい人”として印象が強まります。

(3)法人内でリリースされたツールを使ってみる

Tableau?Alteryx?Power Query?
そんな難しそうなツールじゃなくても大丈夫です。

「なんだか自分でも使えそう」と思えるものでいいんです。
まずは、ちょっと簡単そうなツールから試してみてください。
実際に触ってみると、「これ、意外と便利かも」と感じることが多いものです。

でも現場では、新しいツールが出ても「なんだかめんどくさそう…」と手を出さない人が、意外とたくさんいます。

だからこそ――

「試してみました!これで〇〇が簡単にできましたよ!」

そんなひと言が言えるだけで、
「ITに強い人」「デジタルに明るい人」として一気に印象づけることができます。

おわりに ―「ITに強い」とは、“調べられる人”のこと

ITに詳しい、というのは、必ずしも知識があることではありません。

「調べて対応できる」「ちょっと詳しそうに見える」――これだけで十分に強みになります。

そしてその強みは、確実に現場での信頼につながります。

まずは1つ、できそうなことから。

明日、あなたは何から始めますか?

あなたへの問いかけ

あなたの現場で、今日からできそうな“小さな一歩”はどれでしょうか?
この記事の中で「やってみよう」と思ったことを、ぜひ明日、1つだけ試してみてください。

最終更新:2025年8月4日

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